フランチャイズの歴史
フランチャイズビジネスは、もともとはアメリカで生まれたものですが、その始まりは諸説あるようです。私が今までに数回聞いた中では、日本でもおなじみの『シンガーミシン』が1800年代後半に始めた代理店ビジネスが、今日のフランチャイズの起源になっているという説が一般的なようです。
しかし、もともと、”フランチャイズをどういう風に定義するのか”によってその起源は諸説あり、確かなことは言えないのが現状です。
アメリカで生まれたフランチャイズは、1900年代の初頭に、小資本でビジネスを拡大できる手法として、多くの業界で取り入れられるようになりました。
フランチャイズで名を馳せた企業は数多くあり、現在、アメリカのフランチャイズ業界の市場規模(総売上高)は、100兆円を超えています。これは日本のフランチャイズ業界の約5倍の額になります。
このフランチャイズが日本に入ってきたのが、1956年のコカコーラ上陸とか、1963年のダスキン愛の店や不二家の開業とか言われています。
日本におけるフランチャイズ事業は、まず、外食産業で広がりを見せます。
ケンタッキーフライドチキン、ミスタードーナツ、マクドナルドなど、現在でも外食ファーストフードのトップを走るチェーンがこの頃に開業しました。
1970年 ケンタッキーフライドチキン1号店開店(名古屋)
*創始者のカーネルサンダース氏は1980年に亡くなるまでに3回、日本に来日されています。
1971年 ミスタードーナツ 1号店開店
1971年 マクドナルド 1号店開店
1973年 ピザハット 1号店開店
1973年 シェーキーズ 1号店開店
1974年 31アイスクリーム 1号店開店
コンビニ業界の王者、セブンイレブンは外食FCチェーンの登場から2〜3年遅れの開業となります(1974年セブンイレブン1号店開店)。 =>>『コンビニ大リンク!』内「コンビニの歴史」参照
セブンイレブンの鈴木会長は、外食産業でのフランチャイズ導入状況を見て、「小売業でもいける!」と思ってアメリカにフランチャイズの視察に行ったのかもしれませんね。
フランチャイズの定番となったコンビニは、1980年前後に際立って台頭し始めます。
大手のスーパーとか百貨店とかが子会社を設立してコンビニ業界に参入し始めたのです。
セブンイレブン→イトーヨーカ堂
ローソン→ダイエー
ファミリーマート→西友
サークルK→ユニー
ミニストップ→ジャスコ
大きなところでスーパー系列でないのは、
デイリーヤマザキ→ヤマザキ製パン
サンクス→完全独立系
くらいです。
1990年代後半に入ると、サービス業界でのフランチャイズチェーンが急増し始めます。
【サービス業のフランチャイズチェーン数の推移】
年 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 |
チェーン数 | 158 | 155 | 159 | 169 | 201 | 220 | 308 | 341 | 333 | 308 | 306 | 318 |
店舗数 | 53,582 | 58,314 | 63,858 | 73,931 | 80,260 | 79,908 | 81,388 | 87,811 | 86,378 | 87,289 | 87,890 | 89,177 |
売上高 単位:十億円 | 1,295 | 1,353 | 1,449 | 1,609 | 1,715 | 1,864 | 3,115 | 2,493 | 2,159 | 2,118 | 2,220 | 2,404 |
サービス業でのフランチャイズは、低資本での開業が可能であるため、脱サラして独立を目指す人には魅力的な選択肢であったと思われます。
フランチャイズパッケージ自体も、コンビニのようにガチガチに加盟店を縛るような感じではなく、担当SVもいないというケースも珍しくはありません。
特徴を挙げると、以下のような感じになります。
- 店舗を構えなくても良い場合が多い(自宅が事務所=小資金でできる)
- 多額の商品在庫を必要としない(商品は開業者のスキル=小資金でできる)
- 利益率が良い(うまくいけば大きな収入が望める)
- 売上の安定感に欠ける(無店舗=営業力が必要)
そうした状況を見越してか、サービス業のフランチャイズには、副業からのスタートを推奨するケースが目立ちます。まずは本業の合間に、コツコツと仕事をこなし、ある程度の顧客と自信がついたら本業に切り替えるというパターンです。
こうした背景を受け、サービス業のフランチャイズは1990年代に、一気に倍以上の市場規模になり、今日に至っています。
フランチャイズは様々な業界で導入されていますが、今後もその傾向は一層続いていくものと思われ、これからは高度な専門知識を必要とする分野でのフランチャイズ導入が進むのではないかといわれています。