コンビニ本部の出店事情に翻弄されたお店

そのお店のオープン予定は、本当は4月でした。

元々その土地で商売をしていたオーナーは、完全自力で個人商店をやっていくことに限界を感じ、コンビニのフランチャイズチェーンに加盟しようと決断、とあるコンビニ本部と契約を交わしたのです。
地主オーナーになるので、開発マンが試算した損益ラインも、日販30万円ちょっと。まず間違いなくクリア可能なラインでした。

店舗や駐車場などの設備面の工事は順調に進み、4月を待つことなくいつでもオープンできる状態にありましたが、その店には、4月までオープンを待たなくてはならない事情がありました。

それは、店前の道路工事です。

道路工事 店前の道路は、道幅5mくらいの狭い道路。そこを片側通行にして、下水工事が実施されており、それは4月まで続く予定でした。

「店の真ん前の道路が片側通行で渋滞すると売り上げも見込めないから、工事が終わってから開店しましょう。」

担当開発マンも、そう言っていました。

しかし、、、

実は、(本部の事情ですが)そのエリアのその年度の出店数が予算を大きく割り込んでいました。
サラリーマンにとって、予算未達は汚点です。
そのエリアのエリア長は、

「あの店、もうオープンできるんだろう。あのまま寝かせとくよりは、早くオープンさせて、1円でも売上を作ったほうがいいんじゃないか?」

と、2月中の開店を指示したのです。
開発マンは困惑しましたが、上司指示に逆らうわけにもいかず、オーナーにその話をしました。

オーナーも当然困惑します。

「そんな、無理に開店して、大丈夫なの?」

「まぁ、店前が工事中と言っても1〜2ヶ月のことですし、考えようによっては渋滞で多くのドライバーに店を認知してもらえるじゃないですか。」

そんなやりとりがあったようです。
オーナーもあんまり最初から本部とやりあうことはしたくなかったのかも知れません。本部の言うとおり、2月開店に踏み切ったのです。

しかし、やはり売上は厳しいものでした。

オープン初日こそ80万円近い売上を記録したものの、セールが終われば泣かず飛ばずです。
店前の工事によって、車での来店客は非常に少なく、近隣の徒歩のお客さんが少し来店するだけ。売り上げは20万円台の前半にまで落ち込みました。
さらに、4月に終了と言っていた工事は4月になっても終わることなく、ノラリクラリと結局7月までかかってしまったのです。

その間、その店の売り上げは20万円台に定着したままで、増加の傾向を見せることはありませんでした。
売り上げ的に厳しいラインですので、最低保証制度も適用されましたが、採算ラインを割り込んでおり、オープンアカウントの本部融資残高も膨らみます。
また、このオーナーは地主オーナーですので、店舗投資として、ウン千万円の資金を負担しています。費用は借入れで捻出していたので、その返済も別途していかなくてはなりません。
あっという間に貯蓄を使い果たしたそうです。

もし、エリア長が2月開店にこだわらず、当初の予定通り下水工事期間を避けての開店だったなら、あのオーナーは事業資金のやりくりに困ることなく、もっと楽にコンビニ経営に取り組めたはずです。

本部側の都合は、会社内でのメンツの問題でしかない場合が珍しくありません。決算期にこだわるのは仕方がないとはいえ、人の一生を左右するようなことになるのですから、もっとオーナー本位の判断をするべきではなかったかと思います。
ちなみに、そのオーナーは、今も立派に不良オーナーとして頑張っておられるそうです。
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